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[第35話]LORANニューアルバム『やまない風』全曲解説〜2 2010/05/08

1.やまない風

前回予告した通り今回から、アルバム『やまない風』の収録曲についてギタープレイを中心に一曲ずつ解説して行こうと思う。

アルバムの曲順にそって話しを進めていくから、今回はタイトル曲“やまない風"です。

もう気付いた人もいるかもしれないけど、今回から作詞作曲のところをYASSとかHITOSHIにした。
二人で共作したものは、YASS&HITOSHI。
ハハハ〜、何を意識しているかは、察して下され。

詳細を述べると、この“やまない風"は作詞がYASSで作曲がHITOSHI(わたし)。

これは随分前に作った曲で、覚えがあったから調べたんだけど、LORAN OFFICIAL SITE“Guitar Life〜徒然なるままに〜"の2008年5月22日の日記『曲作り』。

この日記に書いてるのが、この“やまない風"だったのです。
確か最初の仮タイトルは“Gの曲"。

初披露は、その年のYASSのバ−スデイライブの時だったと思う。

この曲は着想して作り始めた時から、“ある予感"があった。
これは相当格好良くなるんじゃないかと。

とにかく、思い描いたイメージを壊さぬよう邪念を払い、ギターを極力使わず(楽器弾きの陥りがちな過ちを避ける為)“聴こえてくる音やイメージする景色に忠実に!"を心がけた。

最初の仮タイトルが示すようにデモの段階ではKeyはGだった(最初のデモの仮歌は自分で歌うから)。

スタジオに持ち込み、YASSの声域に合わせKeyはAに。

イントロやテ−マで出てくるアルペジオは開放弦で弾いた方が音が良いので、エレキギターにカポを使った。
ちなみに“カポ2FのG"という事になる。

開放弦っていうのは、指板のどこも押さえていない状態で弦を弾く事。
普通に押さえて弾いた時と比べると、倍音が多く音がキラキラして綺麗だ。

で、“やまない風"の場合は、おまけに“楽"である。

アルバムのライナーノ−ツを書いてくださった、音楽評論家の平山雄一さんが、その文章の中で、この倍音についてふれている。
『う〜ん、さすが!鋭いな〜』って思いました。

このカポを使ったEGは、リズム録りの時に『せ〜の!』でツルッと済ませ、イントロやブリッジのテ−マアルペジオは拡がりを持たせる為、同じ音色でダブった。

普通はこの後アコギに行きそうなものだが、色々と事情があって、先にBメロで聴けるサスティナ−搭載ギターによる裏メロ録りをした。

サスティナ−ってのは、ギターの音をず〜っと伸ばせるようにするもので(…仕組みはよくしらん)、キ−ボ−ドとはまた違ったニュアンスで、持続音を使った大きなメロディーが描ける。

ここは、最初からメロディーの裏でこういう音が聴こえていたのです。

このサスティナ−サウンドはテ−マアルペジオの裏にも単音で入れたけど、1オクターブ上がるタイミングがそれぞれずらしてある。
このジャッジは色々試しながら、メンバーの意見&感覚に委ねた。

ギターの仕上げはアコギ。

ストローク!

エレキとは違い、カポは使わずKey Aでオ−プンハイコ−ドを多用して弾いた。

オ−プンハイコ−ドってのは、ロ−コ−ドをずらしたり、ハイコ−ドに開放弦を加えたりして作り出すコ−ド。
市販されているコ−ドブックなどに載ってる標準的なフォ−ムとはちと違う。
自分は“人といっしょ"ってのが嫌いでね(笑)

斬新な響きを得たいのなら、是非研究してみて下され。

さて、ストロークの話し。

アマチュアの人はアコギのストロークを“あまく"みる傾向があるけど、六本の弦をバランス良く、強弱もつけ、安定したストロークをキ−プするってのは、難しい事なのです。

これは必修課題。



と、偉そうな事書いておきながら、ちと反省点を少々…。

ミックスしてくれたエンジニアの石川くんから、『HITOSHIさん、あの唸り声…何とかなりませんか?』って苦情が(笑)

あのね、自分では気付いてないんだけど、どうも俺は本気でギターを弾いてる時、唸っとるらしい…『ンンン〜!』『フヌヌ〜!』『ハウウ〜!』っと…まるで“Hの真っ最中"みたく…。
v(^_^;)\(−_−メ)『こりゃ!』

エレキの場合はアンプの前にマイクだから良いけど、アコギは直接ギターにマイク向けるからね…まぁ、今回は石川くんが上手く処理してくれてセ−フ!
はい、今後気をつけます〜。

さて、ここまで録音を済ませ、後は補強としてイントロブレイク後のシロタマ『ガ−ン!』と、イントロ歌中後半とエンディングテ−マアルペジオ裏のシ−ケンスフレ−ズを録った。

このシ−ケンスフレ−ズは、リズム録りを終えて機材を片付けている時にNAOさんが来て『HITOSHI〜、イントロからオ−ルインするところで何かがグゥ〜と上がって来てドカ〜ン!ってのはどうかの〜?』ってのから思いついた。
既に録音済みのエレキは割れた歪みのアルペジオだから、それと対比させる為、クリ−ンな(歪ませない)アンプセッティングでブリッジミュートを効かせてやった。

4/4拍子の進行の上に、4/3拍子でひとかたまりに聴こえるフレーズをタイミングをずらして二本録って、ハモったり&離れたり。
なにやら規則性は感じるけど、フレーズの頭が掴みにくいから不思議な感じがする。

これは狙った。

うん、以上でギターの録音作業はおしまい。

後はヴォ−カル&コ−ラス録りに進む。

メインヴォ−カル!

録りの最中は、都合で立ち会えなかったけど、遅れてスタジオ着いてすぐに聴いた。

もう鳥肌が立ってね。

YASSの歌はサイコ−だ。
一言一言に本物のみが持つ、力強さや優しさや深さがある。
決定テイクを聴き終えて、ちょっと照れながらも自慢げなYASSの顔が忘れられない。

わからん奴は放っておけば良いわけで、細かくイチイチ説明するのは格好悪いし、めんどくさい。

うん、当たり前じゃが、奴はハンパじゃないのだ!

そして、最後がコ−ラス。

これは二転三転してこのカタチに落ち着いた。

最初は自分の描いてたイメージを試すため、YASSに聴いてもらいながら、仮で自分が歌録りした。

LORANのレコーディングってのは、いつも連日頭も体も心もギリギリの状態の中での作業になる。

最初に提示したそのコ−ラスライン…これがその時の自分の目一杯のアイデアだった。

それを聴いたYASSが録音ブ−スに駆け込んで来て、『いいじゃん!それ、こうしたら!』って、タイミングを変えてやって、聴かしてくれた。

これが皆が聴いてる『ブロウ ザ ウィンド』だ。

う〜ん、ヴォ−カリストならではの感覚!

ホンマこういう時のYASSは頼れる。

大賛成して本チャンを一緒に録った。

その後TOMIさんが厚みをつけるべくそこをソロで歌い、その部分は終了。

そして最後の最後がテ−マアルペジオの上での雄叫び『Wow Woo〜〜〜』だ。

YASSはメインヴォ−カル録りの時に、そこも歌っていたから、私一人。

体一杯に息を吸い込み、最後の力を振り絞って、雄叫んだ。

仕上げはミックス時の“風"の音。

あ〜、こうして思い返すと…頑張ったんだな〜って、ちょっと自分を褒めてやりたい(笑)。

とても気に入ってる。

ハハハ〜、うん、長くなった。
とりあえずこれで“やまない風"の解説を終わります〜。

これ読んで、もう一回聴いてみて!

さて、次回は“3Days"だよ。

じゃね〜(^O^)/~
♪HITOSHI♪

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