SPECIAL

[第36話]LORANニューアルバム『やまない風』全曲解説〜3 2010/05/25
2.3DAYS
さて、今回は『やまない風』の二曲目“3DAYS"について書くね。
この意味深なタイトル、そして歌詞の世界観…今までのLORANにはなかったものだよね。
これ、YASSの新たな挑戦なんだけど、こういう歌詞をこんな風に“きわどく"まとめられるってのは、たいしたもんだ。
自ずと演奏も一歩間違うと命取りな(ちと大袈裟ですが…笑)、センス勝負のク−ルでハイテンションなものになってくる。
アルバム『やまない風』のレコーディングは、去年末と今年の二回に分けて行われた。
前回解説した“やまない風"もそうだけど、この“3DAYS"は去年末(前半)に録音されたもの。
ベーシックとなるバッキングのギターは、リズム録りの時ドラム&ベースと一緒に『せ〜のっ!』でツルッと済ませた。
で、このバッキングギターの音!
良いでしょ?
すごく気に入ってる。
アンプは昔から使ってるフェンダ−の“ザ・ツイン"。
自分の場合、レコーディングだと曲ごとにアンプのツマミをアレコレといじって、それぞれの曲にマッチするよう音作りをするんだけど、この“3DAYS"の音は今回のレコーディングのギターサウンドを語る上でとても大きなポイントとなった。
最初ね、なかなか思うようなサウンドが得られず、別のアンプを試したり、歪んだ音とクリーンな音をミックスして同時に鳴らしてみたりと、試行錯誤を繰り返した。
この去年末のレコーディングの“録り"をしてくれたエンジニアは、鈴木さん。
彼と相談しながらアレコレと試していたのだが、“音"ってのは、言葉で非常に説明しづらいものだから…とにかく色々と試した。
おそらく“音"そのものの科学的知識を持ち合わせた専門家なら、もっと上手に説明できるんだろうし、時間もかけずに理想のサウンドに近づけるのでしょう…こういう事に関する俺の説明はね…どうも…それを聞いてる人をこんがらかせてしまうようだ(笑)
なんたって…↓
『もう少し“フヌオォ〜!"って感じ〜』
とか
『あ、それでいて“ジャキ−ン!"みたいな〜』
とか
『え?硬い?痛い?デカイ?何の話しや!(笑)いやいや、そんなんわからんわ、とにかく“バギャ〜"っていわせたいんよ〜』
とか…。
ダハハ…こんな私で、すみませんです。
さて。
まぁ、とにかく色々とやってるうちに、鈴木さんが
『よし、もう一回“ザ・ツイン"で試してみよう!』
と言いだし、
『HITOSHIくんさぁ〜、ギター持ってアンプの前行って、もう一回自分の思うようなサウンドに近づけたアンプセッティングしてみて〜』って。
長年使いこんだ“ザ・ツイン"だ。
自分的に“こういう場合はこう"ってのが大体わかっているつもりで、とりあえず“そっち方向の"セッティングしてそこから微調整すべく、アンプの前で爆音を浴びながら音決め。
アンプの前で空気を透して聞くかぎり、これが一番イメージに近いってところまでセッティングして、鈴木さんに聞いてもらった。
で、これをマイクで録音して聞いてみると…やはり…何かが足りない…音が細いのだ。
さて、どうしたものかと困っておると、鈴木さんアンプの前で珍しく真面目な顔してしばし爆音を浴びておられた。
で、コチョコチョとアンプのツマミをいじっては、また見慣れない真面目な顔してマイクを通した音を確認すべくスピーカーのある部屋へ。
こんな事を何回か繰り返しとるうちに、その音を聴いてたYASSが
『HITOSHI〜、ええわ〜、ぶりかっこええで〜』
と…。
俺は何もしてない(笑)弾いてただけだ。
ちょっと録音してもらい、スピーカーのある部屋で聴いて確認した。
バッチリである!
『これぞっ!』
…と、まぁこんな感じでこのギターサウンドは決まった。
アンプのところ行ってツマミを見てビックリした。
これまで試した事もない(ていうか試そうとも思わなかった)セッティングになっていたのだ。
空気を透して“じかに"聞く音とマイクを通した後の聞こえ方の違い。
これは勉強になった。
鈴木さん、貴方のお陰です!
ありがとう。
このアンプセッティングは、しっかりとメモされ、この後の『やまない風』アルバムレコーディングの“歪み系"基本サウンドとなった。
さて、ではプレイ面での話しへ行く。
バッキングギターは自分のとYASSのとで二本入ってる。
今回のレコーディングではYASSも結構ギターを弾いた。
YASSのギター、その特有な感じと自分のが一緒になると、良い意味でのゴチャゴチャ感が出るのだ。
これは狙い。
で、自分のギターについて。
アンプセッティングが決まれば、『弾く方はまかせんさい』ってなもんで、ツルッと一発で済ませた。
ライブ観た人は知ってると思うけど、サビ後のリフ裏で徐々に小さくなっていくギターの音。
こういうの普通はディレイでやるんでしょうが、あれは左手のミュートと右手の強弱のみでその効果を狙った、言わば“人工ディレイ"。
鳴らす弦の本数を揃えて音量差をつけたかったから、右手はピックじゃなく、指を使ってる。
これ、俺の“こだわり"。
さて、ギター・ソロの話。
これはね…色々とエピソードがある(笑)。
先にふれたように、今回のレコーディングは、去年末と今年の2回に分けて行われた。
久しぶりのオリジナル・アルバム録りだったので、燃えに燃えまくっていた俺は、技術至上主義的な“世界最強のソロ"を弾くべく、全体像を見失ったその計画にそって、猛練習の日々を送っていた。
去年末に録った4曲の中でギターソロがあるのがこの“3DAYS"だけだったのも、その計画に拍車をかけた。
ソロの変拍子部分に乗っけるべく考え出されたそのフレーズは…凄まじく難しい指さばきと、相当のタイム感を必要とするものだった。
猛練習のお陰で、そのソロは計画通り無事録り終えた。
その日は性も根も尽き果てた感じで、一つの達成感に包まれ安らかに眠った。
一夜明け、昨日のス−パ−プレイを確認すべくワクワクしながらラフミックスを聴いて…。
愕然とした。
『何で…こうなるん?俺…何しよるんや〜!?』って。
慌ててYASSに電話した。
『すまん!俺、やらかしたのぉ〜、今聴いてビックリした。大笑いじゃっ!あれは無かった事にしてくれ!録り直す〜!』って(笑)
YASSはYASSで
『やれやれ、やってくれたの〜HITOSHI。さて…どうしたものか…』くらいは思っていたのかもしれない(笑)
急遽今後の方向性なども含め打ち合わせする事になった。
その頃の事は、“Guitar Life〜徒然なるままに〜"2009年11/06 今日この頃(日記)で書いている。
あ、もちろんその後素晴らしいプレイをしましたぜっ!俺様は!(笑)
さて、この後はヴォ−カル本チャン→コ−ラス→ミックスとなるわけですが…。
ちと長くなったし、ギター録りのエピソード終わったとこでキリも良いから、今回はこれで終わりにしま〜す。
じゃね〜(^-^)/~
♪HITOSHI♪