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[第5話]エレクトリック・ギターの歴史 2008/09/05
ストラトキャスター誕生前夜-3『プレシジョン・ベースの発表』
さて、ブロードキャスター/テレキャスターの発表で、ソリッドボディの評判に手応えを感じとったレオは、1950年に次のプロジェクト〜エレクトリック・ベースの開発にとりかかる。
なかなかストラトキャスターの話にならんけど、これは、ストラトキャスターやその後のフェンダー社のギターを語る上で、どうしても触れておかなければいけない事なんで…書きまする。
鋭敏な時代感覚を備えたレオにとって、それまでのフルアコースティック・タイプのベースは、ナンセンスのかたまりにしか思えなかったらしい。
大きくて、重くて、壊れやすくて、オマケに音が小さいという…(まぁ、実際に弾いてみると、『♪トォゥンン、トォゥンン〜♪』って心地良いし、弾いてる姿がカッコ良いし、これはこれで素敵だが)。
で、このタイプのベースの欠点は、その楽器本体の構造から由来するものだと見てとったレオは、4本の弦とチューニングのみを残し、それ以外はすでに完成していたブロードキャスターに移植してみようと考えた。
ここでまた、多くの難題を克服すべく、レオとスタッフ達の超人的な研究&工夫&努力が注がれる。
スケール長を決め、ピックアップに対応する為のスチール製の弦をつくり、その大きいネック&太い弦に合わせて、ペグの改造を行い、ネックとの重量バランスを考慮したボディシェイプを考え出し…etc。
で!ここで重要なのは、そのボディのデザインとフレットの導入!
まずは、大きくて、重いネックとのバランスをとるために、ボディそのものを長く伸ばした。
演奏者にとって最適な重量バランスを得る為には、ストラップピンの位置を工夫して探っておる。
この“ストラップピンの位置”に目を付けるあたりが、鋭い&偉いわな〜。
次に、ハイポジションの弾き易さと、全体の軽量化という観点から、ボディ両側にカッタウェイ(切り込み)を作った。
こうして出来上がったのが、プレシジョン・ベースの“非対称ダブルカッタウェイ”だ。
このボディ・デザインは、ユーザーから大絶賛され、フェンダー・ギターのトレードマークとなり、その後のストラトキャスターを含むほとんどのモデルに採用される事になる!
そして、もう一つ!
フレットの導入だ。
これも当時としては、革新的な出来事だった。
元々ヴァイオリン属であるベースは、フレットレスが当然とされていた。
それゆえに難しい&とっつきにくい、と思われていたこの楽器。
レオは迷う事なく、これにフレットを打った!
結果、ベースはギターと同じ位親しみ易い楽器となった。
こうして完成された史上初のソリッドボディ・ベース、プレシジョン・モデルは1951年に発表された。
これは音楽史に残る、一大革命だった。
コンパクトで耐久性が高く、音量も自由自在にコントロール出来るようになったベース。
そして、何より特筆すべきは、プレシジョンの登場により、ベースという楽器が地面から切り放された事だ。
それまで、テールを地面につけたアップライト奏法の楽器だったベースは、スパニッシュ・スタイルの楽器に変わり、ギタリストと同じように、ステージを動きまわれるようになり、マイクに向かって歌う事さえ出来るようになった。
これはただ新しい楽器っていうだけじゃなく、新しい音楽形態→バンド編成や音楽そのものにも多大な影響を与える事になる。
写真は、プレシジョン発売当時のパンフレット。
レオさん…なんて凄い人なんじゃろ…素晴らし過ぎる!!(ToT)
今回はこれまで。
(^-^)/~
♪HITOSHI♪